2016929日(木)

99回「『副業OK』ダイバーシティ推進の最先端をリードする企業の施策に学ぶ!」

事例発表:ロート製薬株式会社
人事総務部人事2グループ リーダー 山本明子氏

 

事例を発表してくださった山本さんは、1993年に文系総合職としてロート製薬株式会社(以下、ロート製薬)に入社され、現在中学1年生と小学6年生の男の子をもつバリバリのワーキングマザーです。「子どもと一緒に遊ぶことが好き!」とお話しする笑顔から明るく優しいお人柄が伝わってきます。

 ロート製薬は、2016222日、117周年の創業記念日を迎え、新しいCI(コーポレート・アイデンティティ)「NEVER SAY NEVER」とともに新しいスタートを切りました。目薬など医薬品が有名ですが、実はこの20年で目まぐるしく変化してきているそうです。2000年以降は「Obagi(オバジ)」「肌ラボ」等ビューティー関連商品の幅広い商品開発を行い、2013年からはアグリ事業、レストラン等の食ビジネス、最先端の医療である再生医療事業への挑戦も行っており、「健康と美に関する、あらゆるソリューションを提供する会社」を目指し、日々活動しています。

そして、ロート製薬の新たなる挑戦は外に向かってだけでなく、人事制度など組織の内部にも斬新な取り組みをされていることが山本さんの発表で分かりました。ロート製薬では、仕事の中に社員が健康になれるような仕掛けをたくさん作っています。その中の一つが体力診断テストです。社員全員が体力診断テストを受け、そして “年齢ギャップ大賞”など様々な賞を作り、楽しみながら社員の健康へのモチベーションを高めるような努力をされています。

また、ロート製薬は雇用形態に関わらず全員が対象の記念旅行や運動会があり、まさしくこの研究会の次の日は運動会!山本さんの「明日の運動会のスタッフち合わせはあまりしていませんが、空気を読んで動くことが大切なんです。」という言葉から、周囲に気づかいながら、臨機応変に動ける社員の方々が多い職場なのだろうと感じました。ですから、“仕事さえできればよいという考え=NO!”であり、それを理解してくれる人でないと社員としての採用は厳しくなるとのことでした。

 これら以外にも、雇用形態や入社年数に関係なく誕生日にはホールケーキをプレゼントしたり、月に一度昼休みを利用して誕生会を開催したりと、ロート製薬の一員として大切にされていると実感ができる機会が多いことにも驚きました。

 年齢役職に関わらず、呼び捨て禁止!役職呼称禁止!部屋と仕切りがない開放的なオフィス。そして、役職者が通路側に座りいつでも相談できるような環境にしているフラットな風通しの良い組織風土があるからこそ、社員の方たちの平均年齢が40.5歳というのも納得です。

 社内Wジョブ&社外チャレンジワーク、会社としてイノベーションが求められる時代に対応すべく、倍量倍速で個人が成長できる多様な働き方を目指して様々な取り組みをしている一環として社内Wジョブ&社外チャレンジワークへの取り組みが始まったそうです。社内Wジョブ&社外チャレンジワークのねらいは、新しい仕事に飛び込み、刺激を受けることで、自身の仕事の幅を広げ、社員の成長と会社の成長を実現することにあります。対象は勤続3年以上の正社員。基本的に勤務時間外と休日を利用して行っているそうです。『走りながら考える』社風なので、とにかくやってみようとスタートしたそうです。効果としては下記のような感想が出ていたそうです。

社外チャレンジワークでは「ロートの看板なしに働く世界は刺激と緊張感がある」「ビジネスの厳しさを知った」「視野と外部人脈が広がった」

社内Wジョブでは「視野が広がった」「社内人脈が広がった」「管理職が社内Wジョブをした際、管理職の代理(リーダー)が育つなど部下の育成にも効果的だった」

残業が増えたり、業務配分をどうするかなどまだ課題も多いようですが、NEVER SAY NEVERのもとチャレンジし続ける社風は本当に素晴らしいと感じました。

参加者からは具体的に何人が社内Wジョブ&社外チャレンジワークを利用しているのか、職種はどんな職種なのか、上司は反対しないのか、評価はどうなっているのかなど、様々な質問が飛び交い、興味の高さを感じました。

今回、山本さんの事例発表を聴き、社員を大切にする仕掛けをこんなに盛り込みながらも、利益を出し続けることができる!理想とする企業モデルとして、とても参考になりました。

山本さん、貴重な事例を発表いただき本当にありがとうございました。
文責 キャリアカウンセラー 川村貴子、ディ・マネジメント株式会社 田中慶子